「ともにアート」とは?

江戸川区と東京藝術大学は、令和5年度より連携事業『ともにアート』プロジェクトをスタートしました。東京藝術大学は現在、令和4年に就任した日比野克彦学長のもと、芸術を社会に開き、人びとにより身近なものにしながら、より良き社会の実現のためにアートの力を積極的に活用する様々な試みを行っています。アートは人間の生きる力の根幹であり、いまここにないものをイメージする力であり、それを実現して人びとの心をつなげていく力です。

このアートの力を、江戸川区が目指す共生社会「ともに生きるまち」の実現に生かしていこうというのが『ともにアート』の目的です。

令和5年度は、日比野学長が区職員の相談にのる「ご用聞き」、斉藤猛区長と日比野学長らが登壇した「シンポジウム」や、多世代交流を目的とした「ワークショップ」、区内の文化団体の「リサーチ及び報告書作成」調査を行いました。また、令和7年1月(予定)から、旧第二松江小学校の一部を活動拠点として使用できることとなり、その準備も進めています。

次年度以降、これらの活動・調査を下地にしながら、ワーキングチームをつくり、中長期計画を具体的に立て、おもに子育て世代の文化芸術活動に携わる人たちを支援する活動拠点(アートコモンズ)を区内に設けることを視野に入れて活動していきます。

子育てをしながらクリエイティブな活動を続けるために何ができるのか?その問いを考え、それに答えることは、住みたくなるまち、住みやすいまち、多世代がつながりあうまち、文化を発信できるまち──そうしたまちづくりにつながるものと考えています。『ともにアート』プロジェクトを進めることで、そうした場を区民の皆さまとともに創り上げていきたいと望んでいます。

(藤崎圭一郎 / 東京藝術大学デザイン科教授、『ともにアートプロジェクト』研究代表)

「ともにアート」の令和5年度の活動

日比野学長によるご用聞き

  • <span>日比野学長による</span><span>ご用聞き</span> 1
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2023年9月21日、江戸川区総合文化センター会議室にて、江戸川区障害者福祉課の職員7名を対象に、日比野克彦学長が日頃の業務の相談にのる「ご用聞き」を実施した。

職員より「健常者の目線を変えていく」ことの難しさを問いかけられた日比野学長は、藝大での取り組みを事例として紹介しながら、アーティストが健常者との仲介役として機能することで、障がい者に対する健常者の眼差しを変えていく可能性などを語った。

対話

キックオフシンポジウム

  • <span>キックオフ</span><span>シンポジウム</span> 1
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本プロジェクトの始動を記念し、2023年11月19日にタワーホール船堀にて実施したシンポジウムは2部構成で行った。第1部は、江戸川区 斉藤猛区長と東京藝術大学 日比野克彦学長による「ともにアート」に関するトークセッション、第2部は、東京藝術大学日比野学長によるワークショップ(公開・ご用聞き)と題し、展開した。斉藤区長と日比野学長では、多様性を認め合えるというアートの魅力や福祉やひきこもり対策にアートがどう関われるかといった話題が語られた。

シンポジウム対話

多世代交流ワークショップ

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2024年2月10日に「共育プラザ一之江」と「なごみの家一之江」の協力のもとに、一之江小学校体育館にて実施した。2023年11月19日に開催されたキックオフシンポジウム第2部において、「多世代交流」や「世代間交流」をテーマとした質問が取り上げられたことがきっかけとなり、本ワークショップが企画され、実現した。

〈藝大生と「金魚トンネルを作ろう!」〉と題した本ワークショップは、区内のビニールハウス農園と金魚養殖に想を得て、参加者が色とりどりの透明カッティングシートで金魚などをつくり、それをビニールシートに貼り付けて通り抜けのできるビニールハウスをつくるというもの。当日は、子どもから高齢者まで、予定参加者数を大幅に超える100人(関係者を含め)の参加があり、水族館のように参加者がつくった金魚や海棲生物を鑑賞できるビニールのトンネルを3時間で完成させた。

企画は丸山素直(東京藝術大学テクニカルインストラクター)と倉田明佳(東京藝術大学教育研究助手)で、東京藝術大学デザイン科の学生がスタッフとして参加した。

ワークショップ

文化団体へのリサーチ

区内の文化芸術に係る文化団体の活動実態を把握し、団体活動の持続的な運営に向けて必要なことや区が担うべき支援を明確にすることを目的に、①文化団体代表者へのアンケート調査、②文化団体会員へのアンケート調査、③7つの文化団体の代表者へのヒアリング調査を実施した。調査結果の詳細は、『江戸川区×東京藝術大学 令和5年度 連携事業実施報告書』の第5章をご覧ください。